【9】あの時本は無力だった 奥会津書房主宰・遠藤由美子

2018/09/26 08:00

  • 有料記事
東日本大震災の発生直後、県外から奥会津書房に寄せられた支援物資。震災は本というものの限界を思い知る経験だった

 本作りなど愚にもつかない。本に価値などない。  奥会津書房の主宰として本の出版に携わってきたが、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故を経験して、一度はそういう状態まで気持ちが落ち込んでしまった。  震災直後、被災した人たちはみんな、今を生きることで必死だった。悲しみから立ち上がるのに必要なものは、本ではなかった。  奥会津書房は震災発生から2カ月ぐらい、全国から寄せられる支援物資の窓口を...

この記事をSNSで伝える:

  • X
  • facebook
  • line