いわき市の小名浜港と常磐道を結ぶ復興再生道路として整備を進める「小名浜道路」について、福島県は3日、来年夏ごろに開通するとの見通しを示した。開通後は小名浜港から常磐道までの所要時間が現在の半分以下に短縮されるため、県は小名浜港周辺の物流・観光拠点としての機能強化につながると期待する。
内堀雅雄知事が3日開会した12月定例県議会の所信表明で明らかにした。県は第2期復興・創生期間が終了する2025年度末までの開通を目標として示していたが、工事の進捗(しんちょく)率が94%となったため、より具体的な開通時期を示した。
小名浜道路はいわき市泉町を起点に同市山田町に至る無料の自動車専用道路で、延長8.3キロ。インターチェンジ(IC)3カ所を設けるほか、常磐道に接続するICを新設する。小名浜道路のICの名称は「いわき泉」「いわき添野」「いわき山田」、接続するICは「いわき小名浜」にそれぞれ決まった。
小名浜港は東日本大震災後、支援物資の受け入れに大きな役割を果たした。小名浜道路の開通後は常磐道のいわき湯本、いわき勿来両ICから小名浜港までの所要時間が約30分から約13分に短縮され、緊急輸送機能の強化につながりそうだ。石炭を扱う国際バルクターミナルとしての存在感向上も期待される。
原発事故による避難指示解除が進む双葉町や大熊町などから小名浜港への所要時間も、国道6号を利用する場合に比べて30分近く縮まる見通し。内堀知事は所信表明で「小名浜道路は復興再生道路を代表する路線の一つ。(開通により)広域的な道路ネットワークの強化が図られ、避難地域の復興を強力に支援できる」と語った。いわき市の内田広之市長は「小名浜港と常磐道のアクセスが半分以下の時間に短縮され、本市の物流の進展が大いに期待される」とのコメントを発表した。
県によると、8路線ある復興再生道路で全線開通しているのは4路線で、小名浜道路が5番目になる見通し。残る3路線の開通時期は未定だが、25年度中の開通を目指すとしている。