従来型の健康保険証は2日、新規発行が停止され、マイナンバーカードに保険証機能を持たせた「マイナ保険証」を基本とする体制に移行した。しかし利用率は15%台と低調だ。発行停止後も従来型は最長1年有効とするなど、マイナ保険証以外でも受診できる。政府はマイナ保険証への一本化を目指すが、定着するかどうかは見通せない。
従来型は有効期限内なら2025年12月1日まで使える。マイナ保険証を持たない人には期限までに、保険証の代わりになる「資格確認書」が届く。
「高齢者からメリット疑問の声」
福島市早稲町の佐藤歯科医院は2022年7月、マイナ保険証専用のカードリーダーを窓口に設置。国から送られた啓発ポスターなどで周知を図るが、利用率は20%程度にとどまる。受け付け業務を担当する大山千尋さんは「特に高齢者から、持つメリットがよく分からないという声を聞く。暗証番号の入力や顔認証といった利用手続きの煩わしさもあるようだ」と分析する。
同院ではデジタル機器に不慣れな患者には操作方法を説明。マイナンバーカードの顔写真と見比べる目視で本人確認する方法もあり、これまでトラブルはないという。大山さんは「マイナ保険証の利用拡大は病院事務の省力化につながるが、もっと丁寧に周知する必要があるのではないか」と話す。