毎日必死に働いたが、暮らしは楽にならなかった。父徳一は寡黙で真面目な性格で、母トヨも自転車に菓子を積み込み、冬の雪の深い日も近くの村の商店に売りに回った。 私が朝起きると、すでに仕事をしていた。私が寝る前にも仕事をしていた。「この人たちはいつ寝ているのだろう?」。子どもながらに両親の姿をそう思った。 太郎庵は1949(昭和24)年8月、父が目の前に小川が流れる裏通りの自宅で目黒菓子店として創...
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