楢葉町のJR竜田駅近くで4月に開店した喫茶店「喫茶ヤドリギ」が憩いの場となっている。東京電力福島第1原発事故からの復興が進む町内で、店を経営する岐阜市出身の森亮太さん(33)は「店はまだ芽吹いたばかりで、これから成長するところ。たくさんの人が集まり、くつろいでもらえる場所にしたい」と意気込んでいる。
森さんは立命館大の学生だった2012年、復興ボランティアとして本県を訪れ、楢葉町民との交流が始まった。15年に町の避難指示が解除され、町民が帰還し始めた。本県に足を運んで現状に触れる中、もっと町民と関わりたいと考え、同大を卒業した17年に町へ移住し、起業型地域おこし協力隊などを務めた。
2年半がかりで開店
その後、「さまざまな世代の人々が集う場をつくりたい」と喫茶店の経営に行き着いた。「もともと喫茶店に通うのは好きだったが、経営するようになるとは」と話す。元スナックの物件を紹介され、元の印象を生かして自ら改装し、約2年半がかりで開店させた。
こだわりのコーヒーのほか、たっぷりのあんとバターがのった「小倉トースト」が人気だ。常連客も増えており「周囲のサポートに感謝している。楢葉町の日常の一部、欠かせない店になれれば。地域の人たちから長く愛される店になれたらうれしい」と語る。人々が集う"宿り木"として楢葉に根を張る挑戦が始まった。
住所は楢葉町井出字木屋126の6。営業時間は午前10時~午後6時。定休日は毎週月、火曜日。