「自分の目は自分で守る」との意識で、日ごろの生活習慣を見直すことから始める必要がある。
子どもの視力低下に歯止めがかからない。文部科学省が公表した昨年度の学校保健統計調査によると、裸眼視力が1.0未満の県内の子どもの割合は幼稚園30%、小学校43%、中学校67%、高校81%だった。記録の残る1979年度以降、小中学校、高校ともに最多を更新し、幼稚園を含め、いずれも全国平均を上回った。
視力低下の大半は近視によるものとみられる。近視の多くは小学3~4年ごろに発症するものの、最近は低年齢化が進んでいる。早く発症すればするほど進行の度合いが大きくなり、緑内障や網膜剥離などの重い目の病気のリスクが高まることが懸念されている。
子どもの段階で近視を発症させない、発症しても軽度の状態で進行を防ぐことが重要だ。
県教委は、スマートフォンやタブレット端末などを使用する時間が増えていることが要因の一つと分析している。しかし4月から小中学校でデジタル教科書が本格導入され、児童生徒がデジタル機器の画面を見る時間が増えている。
長時間にわたり、画面を見続けることが目に大きな負担となる。デジタル機器と目を30センチ以上離す、背筋を伸ばし姿勢を良くする―などの基本的な対策に加え、画面を凝視する時間を減らすことが鍵となる。授業中に黒板を見たり、児童生徒が発言したりする機会を増やすなどの工夫が必要だ。
製薬会社の調査では、視力低下に伴い、小学生の6割が「黒板が見えにくい」など日常生活に影響があるとした一方、半数以上の保護者が子どもの影響に気づいていなかった。何らかの対策をしている保護者は2割にとどまった。
家族で話し合い、目の大切さを理解した上で、タブレットやスマホの利用時間を制限するなど、子どもたちが自主的に取り組めることを家庭内で実践してほしい。
日本眼科医会によると、日光に当たる外遊びが少ない子どもは近視になりやすい―とのデータがある。このため文科省は、授業や休み時間以外に1日90分、休日では1日2時間は屋外で過ごすことを呼びかけている。ただ熱中症や紫外線などの影響にも配慮する必要があるため、日差しの強い場所は避け、建物の陰や木陰で過ごすことも推奨している。
天候などの状況を踏まえ、昼休みに全ての子どもに屋外活動を促したり、休日も家族と一緒に外出したりなど、学校と家庭が連携し子どもの目の健康を守りたい。