小野薬品工業の相良暁会長(65)が31日までに共同通信のインタビューに応じ、主力のがん免疫治療薬「オプジーボ」の特許切れに備え、今後の収益の柱となる新薬創出に向け研究開発費を現状の年間1千億円規模から倍増させることを目指す考えを示した。買収により有望な新薬候補を確保することや、海外での自社製品の販売強化で特許切れ後の減収を補いたいとの意向も示した。
相良氏は2008年から今年3月末まで社長を務め、オプジーボの開発や普及をリードした。9月2日で発売10年を迎えるオプジーボは同社の売上高を3倍以上の5千億円に拡大させ、関連収入が全体の6割を占めるまでに成長したが、31年で特許が切れ、後発薬との競合で年1400億円以上の減収となる見通し。
このため相良氏は「研究所の中、あるいは外から新薬候補をどんどん取っていかないといけない」と強調。「オプジーボ一つを穴埋めして成長するには(新たな収益源が)五つ、六つはいる」とも述べ、有望な新薬候補を持つ企業を「早い段階から目をつけて買っていく必要がある」とした。