相馬総合高3年の松本心花(ここな)さん(18)は、東日本大震災の経験を伝えようと「防災絵本」を手作りした。相馬市の保育園で絵本を読み聞かせた松本さんは「一人でも多くの子どもたちに、災害から身を守る方法を知ってほしい」と語った。
絵本は、17歳の主人公「りょうへい」が、4歳で経験した地震と津波を振り返るストーリー。母と買い物をしていた時に地震に遭遇し、高台に逃げて難を避けることができたことを物語る。
モチーフは4歳だった松本さんの震災の体験。市内の商業施設で母親と大きな地震に襲われた。屋外に避難し、揺れが収まるのを待った。震災で親族は無事だったが、絵本には主人公の祖母が津波の犠牲になるエピソードを盛り込んだ。「人の命を奪うほど、災害が怖いことを知ってほしかったから」と話す。
高校1年生で、本県復興の将来を考える体験型プログラム「福島学カレッジ」に参加し、多くの人の震災の記憶が風化していることに驚いた。そんな思いもあって、3年時に取り組む課題研究のテーマに「子ども」と「防災」を選び、絵本を通じて避難の大切さなどを伝えることを思い立った。
読み聞かせを行ったのは、絵本作りに生かそうと、震災の経験を職員などから聞き取ったみなと保育園(相馬市)。14日には年長児約30人を前に、ゆっくりと絵本を読み「押さない」「駆けない」など避難する際の基本も伝えた。「少し緊張したが、みんなしっかり聞いてくれてうれしかった。絵本を作って良かった」と松本さんは笑顔を見せた。高校卒業後は仙台市の専門学校に進み、保育士と幼稚園教諭の資格取得を目指すという。