常磐興産TOB成立 米投資ファンド、完全子会社化が確定

2024/11/07 09:15

米ファンドの完全子会社となることが事実上確定した常磐興産が運営するスパリゾートハワイアンズ

 米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループは6日、スパリゾートハワイアンズを運営する常磐興産(いわき市)を対象とした第1回株式公開買い付け(TOB)が成立したと発表した。同グループは全体の約7割の株式を取得することになり、常磐興産の完全子会社化が事実上確定した。同グループは全ての株式の取得に向けて手続きを進める。

 第1回TOBで同グループは1株1650円で買い付けを行い、常磐興産所有の自己株式を除く株式総数の72.14%を取得。買い付け予定数の下限(50.67%)を上回った。13日から始まる第2回TOBでは1株1240円で買い付けを行うが、すでに大株主らがTOBに応募することに合意しており、2段階のTOBで88.13%を取得する予定。完全子会社化に必要な3分の2以上の株式を取得した同グループは残りの株式の取得手続きを進める。

 常磐興産によると同グループは年度内の全株取得を目指していたが、第1回TOB期間が延長されたことも影響し、手続きが来年度にずれ込む可能性があるという。完全子会社化後、常磐興産は上場廃止となる。

 同グループは約140億円を投じて買収する。常磐興産の2024年3月期連結決算は売上高148億8100万円、純利益9億3400万円で2期連続の黒字を達成。しかし同期末の有利子負債は299億円に上り、同グループの子会社となることで設備投資資金を確保したい考えだ。

 専門家「1桁違う投資可能に」

 常磐興産の買収を巡っては、ハワイアンズの今後の発展に期待する声も多い。レジャー産業に詳しい桜美林大の山口有次教授は「設備投資は、レジャー業界の生命線だ。やめれば集客力が落ちてしまう」と解説した上で、「ハワイアンズはグランピング施設や新たなウオータースライダーを整備するなど、魅力向上に努めてきたが、今後は従来とは1桁違う投資が可能になるかもしれない」と指摘した。

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