旧統一教会の信者を両親に持つ30代男性が今秋、教団側から与えられた本名で生きるのは苦痛だとして、東京家裁に氏名変更を申し立てたことが12日、分かった。男性は野浪行彦さん=通称、東京都在住=で、教団が相手を選ぶ合同結婚式で結婚した両親から生まれた「祝福2世」。名は教団側から教義に沿って付けられたという。
申し立て書類によると、変更を望む理由は「2世として生まれてきたときからずっと自分のことを抹消したいと思いながら生きてきた。(安倍元首相銃撃)事件をきっかけに、本名で生きることの耐えがたい苦痛にさいなまれている」などとしている。
野浪さんは幼少期から教義に不信感を抱いていたが、宗教活動を強要され、一時は自殺を図るほど精神的に不安定だった。10代で両親から離れて生活を始め、外国で生活するなどして比較的安定したが、銃撃事件で逮捕された男が同じ教団の2世であることを知り、自身の人生のつらさが呼び起こされて精神状態が再び悪化した。親は教団内で有名な古参信者の家系で、本名の氏を維持することも苦痛だとしている。