富山、長野両県をケーブルカーやバスなどで結ぶ「立山黒部アルペンルート」で運行してきた国内唯一のトロリーバスが30日、ラストランを迎えた。バスが発着する室堂駅(富山県立山町)には多くのファンが詰めかけ、最後の雄姿を見届けた。
トロリーバスは、立山トンネル内の室堂―大観峰間(3・7キロ)を約10分で結んでいた。8両が稼働していたが、交換が必要な部品の調達が困難になったため、運営する立山黒部貫光(富山市)が廃止を決めた。1996年にディーゼルバスから転換して以来、今月28日までに延べ1992万人が利用した。
午後3時発の最終便4両には約200人が乗車。ホームには「29年間ありがとう さよならトロリーバス」の横断幕が掲げられた。警笛に合わせ、定刻通りに出発すると、ホーム上の社員が手を振って見送った。乗客は思い思いに車窓の様子をカメラに収めていた。
家族や友人と何度もアルペンルートを訪れたという横浜市の会社員木村悠利さん(25)は「いろいろな思い出があるトロバスがなくなるのは寂しい」と別れを惜しんだ。