夫を亡くした妻は年齢に関係なく遺族補償年金を受給できるのに、妻の死亡時に夫が55歳未満だと受給できない労災保険法の規定は男女差別で違憲として、東京都の男性(54)が国に不支給処分の取り消しを求めた訴訟の第1回口頭弁論が13日、東京地裁であった。男性は意見陳述で「規定は仕事にやりがいを持って働く女性の生き方を否定している」と主張。国側は争う姿勢を示した。
19年に過労で亡くした妻=当時(51)=について男性は、「仕事に誇りを持ち、同じように家計を支え、ともに家庭を大切にしていた」と明かした。家事や子育てを平等に分担。妻の年収は男性を上回っていた。
男性は「男性だけが一家の大黒柱という時代は終わりました。真に男女平等な社会を実現するためにも違憲の判決を出してほしい」と裁判官に語りかけた。
日本労働者協同組合連合会センター事業団の幹部だった妻は、くも膜下出血で死亡。23年、労働基準監督署が過重労働による労災と認定、男性は遺族補償の一時金約1700万円を受け取ったが、遺族補償年金は不支給とされた。