深刻化するアスリートへの誹謗中傷問題を受け、政府が本格的な対応に乗り出すことが28日、関係者への取材で分かった。被害を受けた選手が法的措置を取る際のサポートや相談窓口設置の支援など、関連経費としてスポーツ庁の2024年度補正予算案に約2億円を盛り込む方向。日本オリンピック委員会(JOC)や日本パラリンピック委員会などと協力し、具体的な施策を詰める。
5年ごとに示す国のスポーツ施策の指針「スポーツ基本計画」でも、27年度からの次期計画で言及する案が浮上。アスリートが性的な意図で撮影される問題なども含めて対策を強化することも検討している。選手を脅かす事態が増えつつある中、安心して競技に打ち込めるよう、政府とスポーツ界が一体となって取り組む構え。
交流サイトなどでの選手への誹謗中傷を巡っては、今夏のパリ五輪で柔道女子の阿部詩選手ら、日本勢も複数の選手が被害に遭った。JOCは大会中に異例の声明を発表し「侮辱や脅迫などの行き過ぎた内容に対しては、警察への通報や法的措置も検討する」と警告した。