原子力規制委員会は4日、東京電力福島第1原発の処理水海洋放出を検証するため、国際原子力機関(IAEA)の調査団が7日から15日にかけて原発周辺の海水や水生生物、海底土を採取すると発表した。IAEAの専門家に加えて、中国、韓国、スイスの分析機関の専門家も来日して参加する。放出開始後に中国の専門家が加わるのは昨年に続いて2回目。
日中両政府は9月、中国が全面停止してきた日本産水産物の輸入再開に向け、IAEAの枠組みの下、中国側が試料採取や分析に参加することで合意している。
外務省によると、合意に基づく中国側の参加の在り方はIAEAとの間で調整が続いており、今回の活動とは別に実施する可能性もあるという。
試料採取は、海域モニタリング(監視)の透明性や信頼性の向上を目的に実施する。今回は第1原発周辺の海水や海底土、いわき市で水揚げされた水産物から6種類程度のサンプルを採取する。例年と同様に、IAEAが日本の分析機関による試料の前処理から分析までの状況を確認後、参加各国の分析機関がそれぞれ同じ試料を分析。その結果をIAEAが比較評価し、日本当局のデータの信頼性を確認する。