1986年の福井中3殺害事件で服役した前川彰司さん(59)の再審公判に向けた裁判所、検察、弁護団による第1回3者協議が11日、名古屋高裁金沢支部(山田耕司裁判長)で開かれた。弁護団によると、検察は新たな証拠を提出しないと明らかにした。来年3月に初公判を開き、即日結審する見通しとなった。再審請求審までの証拠で審理されることになり、前川さんの再審無罪の公算がより大きくなった。
再審公判は、再審開始決定を出した山田裁判長らが担当する。前川さんが公判で、意見陳述することも決まった。3者協議後、金沢市内で記者会見した前川さんは「検察は相応の謝罪をしてほしい」と話した。
前川さんは事件の翌年逮捕され、一貫して無実を主張。一審福井地裁で無罪判決を受けたが、二審高裁金沢支部判決で懲役7年の逆転有罪となり、その後確定した。第2次再審請求で、高裁金沢支部は今年10月、有罪の根拠となった関係者供述の信用性を否定し、再審開始決定を出した。検察は異議申し立てをせず、確定した。