老いる住まい、政府の対策急務 人口減で地域社会の「負動産」に

12/01 18:12

 マンションに建て替えられる前の集合団地=2020年7月、東京都練馬区(東京建物株式会社提供)

 政府、与党が“老いる住まい”の対応を急いでいる。背景にあるのは、国民の10人に1人が暮らすとされる分譲マンションの老朽化だ。耐震強度が不足する物件や手入れの行き届かない空室が目立ち始め、放置すれば、倒壊などのリスクをはらむ地域社会の「負動産」に転じかねない危機が迫っている。

 国土交通省の調査によると、築年数40年以上のマンション世帯主は70歳以上の高齢者が48%を占める。部屋を所有していてもすでに住んでいないといったケースも多く、建て替えや解体後の更地の売却を進めようとしても合意形成が図れないという。

 建て替える際の負担の大きさもネックだ。2002~11年に817万円だった所有者の平均負担額は資材の高騰などにより、17~21年には2倍以上の1941万円にまで膨張。費用負担を巡り手続きが停滞しやすい。

 郊外や地方では中古物件を建て替えても、その後の需要が見通せないという現実が追い打ちをかける。大手デベロッパーの担当者は「建て替えが実現できるのは都市部の物件がほとんどだ」と明かす。

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