【キーウ共同】ロシア軍の捕虜となったウクライナ兵の家族らのいら立ちが、人道支援のためにロシア当局とも協力する赤十字国際委員会(ICRC)に向かっている。多数報告されるロシアによる捕虜虐待が止まらない歯がゆさが背景にある。ICRCの活動は「中立性」が原則だが、風当たりが強まれば人命救助に支障が生じかねない。
「恐怖と暴力による支配が、ロシアが捕虜を管理するツールだ」。ウクライナ最高会議(議会)人権委員会のルビネツ氏は、捕虜の人道的扱いを定めたジュネーブ条約の違反行為をまとめた冊子を発表した。冊子には「人道の罪に対する中立の態度」が違反容認につながると明記してある。
ジュネーブ条約の起源となったICRCは敵味方を区別せず人命を保護。政治介入や他団体との情報共有をせず、どの紛争当事国とも協力する。
国連人権高等弁務官事務所の報告書によると、ロシアでは電気ショックや性暴力など捕虜への虐待が組織的に横行。ルビネツ氏はこれまでロシアが解放した3767人のうち95%が拘束中に拷問を受けたと主張する。