「自分が生まれ育った川内村で撮影したい」。舞台を中心に活躍している川内村出身の俳優、横田龍儀さんの2冊目の写真集「而立(じりつ)」(主婦と生活社、3850円)は、自身の希望通り川内村や県内でも撮影が行われ、リラックスした素の表情が魅力的だ。節目の年齢を迎え「新たなスタート」と意気込む横田さんに、写真集の見どころや今後の展望を聞いた。
2冊目「而立」
写真集は約半分が川内村や福島市の飯坂温泉、フルーツラインなどで撮影された。郡山市での誕生日イベントの様子や、東京で撮った写真、インタビューも掲載されている。「30歳ということで、生まれ育った場所と、いま頑張っている東京の2カ所で撮影しました。川内村では川内小や平伏沼、天山文庫などで。天山文庫は小学校のときによく行っていたので、まさかそこで撮影できるとは思いませんでした」と感慨深げだ。
川内村で育った自分について「いい意味で、まったりしています」と語る。「よく人に『優しい』と言われるんですけど、それは川内の人たちと触れあって、あの空気の中でのびのび育ったからこういう性格になったんじゃないかな、と今、すごく思います」
そんな雰囲気の村内で撮影された写真は、いずれも穏やかで自然。「今回は素の表情を出したいと思っていたのですが、帰省中のような、落ち着いた、安心している表情で撮れました」と、笑顔を見せる。
県内 旅気分を
福島市の果樹園で桃を丸かじりしている場面はお気に入りの一枚。「桃がとても大きくて、おいしかった」と振り返る。桃は皮をむかずに食べるのが龍儀流で「小さなころから皮ごと食べていました。東京の人たちには驚かれましたけど。皮があっても福島の桃はおいしい!」。
飯坂温泉でくつろぐショットなどもあり、ページをめくる人が、一緒に県内を旅している気分を味わえそうだ。「福島県に来てくれた人に『写真集に載っていたあの場所だ!』と思ってもらえたらうれしいですね。県内にはいいところがたくさんあるので、いろいろな人に来てほしいです」
30歳の節目
30歳を意味する「而立」をタイトルに選び、俳優活動への覚悟を見せた。「今後はもっと自分で選択し、勉強しなければと思っています。一番はお芝居。今までよりも繊細に作り上げていきたい」。人気の舞台「MANKAI STAGE『A3!』」(通称エーステ)にはリーダー役で出演し、海外イベントにも参加するなど多忙だが、今後は映像の仕事や、ミュージカル以外の舞台にも活躍の場を広げていきたい考えだ。
村のふるさと大使を務め、復興の取り組みにも関心を寄せている。「僕にできることがあればどんどん関わっていきたい。村のみなさんが復興のためにいろいろなことを展開しているので、僕はそれを周知する活動ができれば。僕自身が有名になることでそれらの活動も広がっていくと思う。だから僕はまず自分のことを精いっぱい頑張って、ふるさとのことも発信していきたいです」
◇
よこた・りゅうぎ 川内村出身。2012年に「第25回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」で審査員特別賞を受賞。ミュージカル「刀剣乱舞」や「MANKAI STAGE『A3!』」などに出演。