飲食店の開業を目指す人などが会員となり、一つの厨房(ちゅうぼう)機器を交代で利用できる「シェアキッチンHakuba(はくば)」が7日、福島市飯坂町でプレオープンした。代表の坪井有佳子さん(46)=同市=は「まだ手探りだが、お客さんも料理を提供する側も笑顔になれてうれしい」と手応えを口にした。
坪井さんは東京都からUターンした。都内の会社の同僚の新規就農をきっかけに規格外野菜の存在と実情を知り、女性起業セミナーで出会った菊田宏美さん(53)らと不定期のカフェを開き、規格外野菜を使ったメニューを提供してきた。その際に場所を確保する難しさや、厨房機器やスペースが十分ではない不便さを痛感し、客席付きシェアキッチンの開店に踏み切った。
プレオープン初日は会員ら5人の料理をまとめたワンプレートランチを提供した。来店した同市飯坂町の菊地俊作さん(48)は「一つの皿でいろいろな味が楽しめた」と話した。
今後は曜日ごとに別の会員がランチを提供し、週末を中心に居酒屋や夜喫茶も営業する。来年3月中に予定する本格オープンに向けてさらに会員を募る考え。ワークショップとランチの組み合わせや貸し切り忘年会の予約も入っており、坪井さんは「使い方の可能性を広げていきたい」と話している。