サッカーJ3の福島ユナイテッドFCは1日、敵地のサンプロアルウィン(長野県松本市)でJ2昇格プレーオフ(PO)準決勝に臨み、松本山雅FCに1―1で引き分け、PO敗退が決まった。引き分けた場合は、リーグ戦の年間順位で上位のクラブが勝者となるPO規定により敗退が決定し、クラブ初のJ2昇格を逃した。
J2昇格POは今季から導入された。J2自動昇格を決めた1、2位を除く上位4チームのカターレ富山(3位)、松本山雅FC(4位)、福島ユナイテッドFC(5位)、FC大阪(6位)で昇格を争った。
【評】福島は追加点が遠かった。先制点は前半10分、FW森の左サイドの突破から生まれた。FW樋口がゴール中央付近に抜け出し、森からの折り返しをゴール。しかし、2点目を奪えずにいると、次第に松本に主導権を握られる展開に。後半20分にコーナーキックの流れから痛恨の失点。5人の交代枠を全て使い切り打開を図ったが、及ばなかった。(小野原裕一)
早い先制点、生じた迷い
J2初昇格の戦いの終わりを告げる無情なホイッスルが響くと、選手たちはぼう然とピッチに立ち尽くした。福島ユナイテッドFCは松本山雅を相手に勝利を逃し、プレーオフ敗退が決定。「これだけの舞台で選手たちを思い切ってプレーできる状態で送り出せなかった。私の責任」。寺田周平監督は選手をかばった。
一発勝負独特の重圧が福島の選手を襲った。開始早々の先制点で理想的な展開になったと思われたが、指揮官は「自分たちのサッカーができたかと問われると…」と口をつぐんだ。選手たちは攻めるべきか、守るべきかの判断に迷った。
引き分け以上で勝利となる松本が、前に圧力を掛けてくるのは想定済みのはずだった。しかし、後半は福島の連係に乱れが生じ、「中盤が間延びした。守りで意図のあるプレーが必要だった」とDF大森博。前半を大きく超える6本のシュートを浴びるなど再三の反撃を許し、守備に追われる時間の増加に比例して勝機はしぼんでいった。
敗退したものの、J2の景色に手が届く戦いを見せてくれた福島。試合後、うなだれる選手たちが顔を上げた先にいたのは、遠く福島の地から駆けつけたファンやサポーターの姿だった。「福島ユナイテッド、福島ユナイテッド…」―。ピッチを去った後も鳴りやまない”福島コール”が、再び選手たちの背中を押すはずだ。(小野原裕一)