石川町発注の公共工事の入札を巡る官製談合事件で、官製談合防止法違反や収賄などの罪に問われた前石川町長の塩田金次郎被告(77)=同町形見字道橋=の判決公判は18日、地裁郡山支部で開かれ、下山洋司裁判長は懲役2年6月、執行猶予5年、受け取った賄賂に相当する追徴金42万1036円(求刑懲役2年6月、追徴金42万1036円)を言い渡した。弁護人によると、控訴しない方針という。
下山裁判長は判決理由で、塩田被告から設計金額の教示を受けた町内の土木会社「志賀建設」は、設計金額に近い額で工事を落札しており「指名競争入札の公正さを害した程度は大きい」と指摘。設計金額を教えた見返りに約3年間、軽視できない額の賄賂を受けており、町長の立場を利用して特定の業者に便宜を図っているとして「町政への信頼を大きく損なった悪質な犯行。公務員に求められる高い規範意識や職業倫理に欠けた意思決定は厳しい非難を免れず、刑事責任は重い」と断じた。
一方、今後は公務に関わらないことを約束しているなどとして執行猶予を付けたが、刑事責任の大きさから最大の5年とした。
判決によると、塩田被告は2019年6月~23年2月の間、町執行の公共工事の入札で「志賀建設」元役員の添田保雄被告(63)=贈賄罪などで起訴=に設計金額を漏らし、20年2月~23年3月の間、謝礼として9回にわたり缶ビールなど約42万円相当の賄賂を受けた。町が22年度に発注した道路工事や認定こども園の工事の指名競争入札でも設計額を添田被告に漏らした。